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演習 8: Jazz Team ビルド

このセクションでは、Rational Team Concert™ のビルドが生成する内容の利用者である開発者の視点から、Jazz™ Team ビルドのユーザー・インターフェースについて学習します。 ただし、通常であればビルド管理者やリリース・エンジニアが実行するセットアップを実行する必要があります。 プロジェクトに必要なものが Jazz Team ビルド で作成されるようにするには、プロジェクトの要件に合わせてビルド・スクリプトにかなりのカスタマイズおよび適合化が必要になる場合があります。幸い、Jazz Team ビルド は簡単に実行することができるため、自分のチームのために動作しているかのように、その機能する様子を理解することができます。
Jazz Team ビルド は、Rational Team Concert の基本コンポーネントです。 それ自体では何もビルドしませんが、Rational Team Concert リポジトリーからチームの作業を取り出し、それをビルド・スクリプトで使用できるようにして、結果を Rational Team Concert に返すためのインフラストラクチャーを提供します。 Rational Team Concert ユーザーおよびビルドの利用者であるユーザーは、実行中のビルドをモニターして、結果にアクセスすることができます。 Rational Team Concert の初期から、Jazz Team ビルド は、Rational Team Concert 自体のビルドに使用されてきました。
Jazz Team ビルド の動作の仕組みについて説明します。 全体としては以下のようになります。
  1. スケジュールの定義: 個々のビルドはユーザーが定義したスケジュールに合わせて作動します。 Rational Team Concert のソース管理についてのセクションで、チームが 1 つ以上のチーム・ストリームで開発作業を共用したことを思い出してください。
  2. 変更の有無の検査: チームのビルドを実行する際、Jazz Team ビルド は、チームのストリームの内容に変更があるかどうかを検査し、変更セットと呼ばれるそれらの変更を独自のビルド・ワークスペースに受諾して、ストリームの現行コピーを作成します。
  3. リポジトリーの内容の取り出しおよびビルドの実行: 次に、ビルドがビルド・ワークスペースの内容をファイル・システムに取り出し、そのファイル・システムでビルド・スクリプトがビルドを実行します。
  4. リポジトリーへの成果物の公開: ユーザーがアクセスできるように、Rational Team Concert リポジトリーにビルド成果物が公開されます。
  5. ビルドの完了通知の送信: すべてのビルドの状況がリアルタイムで報告され、ビルドの完了時には自動的に通知が行われます。
Jazz Team ビルド には、Jazz ビルド・エンジン および Jazz ビルド・ツールキットが含まれています。 これらは非常に簡単な方法でインストールして作動可能にすることができます。 Jazz クライアントから、以下の作業を実行します。
  • ビルド・スクリプトを定義します (ここでは作業の大部分を Eclipse Jazz クライアント に行わせます)。
  • ビルド・スクリプトを識別するビルド定義を定義します。
  • 定義されたビルドを実行するビルド・エンジンを定義します。
  • ビルド要求に応答するビルド・エンジンを開始してビルドを実行し、結果を公開します。
これにより、Jazz Team ビルド の成果物の開発者および利用者であるかのように、ビルドを要求し、結果を調べて、ビルド・ユーザー・インターフェースを学習することができます。
注: セットアップの手順には少々時間がかかります。いったんここで休止し、後で再開することもできます。 ビルドのセットアップを続行しないことにした場合は、『Jazz Team ビルド・ユーザー・インターフェースのツアー』というタイトルの次のセクションをお読みください。 ここでは、ビルドを要求する方法およびビルド結果の見方について学習します。

ビルド・チーム・メンバーの Eclipse ワークスペースのセットアップ

このチュートリアルでは、前の演習で作成したビルド・チーム・メンバーが、専任のビルド・ユーザーになります。 このビルド・チーム・メンバー用に新しい Eclipse ワークスペースをセットアップして構成します。
このビルド・チーム・メンバー用に新しい Eclipse ワークスペースをセットアップして構成するには、以下のようにします。
  1. 新規 Eclipse ワークスペースに切り替えます。
  2. リポジトリー接続を作成します。
  3. 「Prelude」プロジェクト・エリアに接続します。
詳しくは 、演習 2: 接続を参照してください。セットアップ完了後は、以下のような「チーム成果物」ビューが表示されるはずです。

ビルド・チーム・メンバーの Eclipse ワークスペース

ビルド・スクリプトの作成

ビルド・スクリプトを作成するには、以下のようにします。
リポジトリー接続が定義されていること、およびログインしていることを確認してください。
  1. パッケージ・エクスプローラー」ビューでプロジェクトを右クリックし、「エクスポート」をクリックします。
  2. エクスポート」ウィザードの「選択」ページにある「一般」で、「Ant ビルド・ファイル」を選択し、「次へ」をクリックします。
  3. エクスポート」ページで、プロジェクトおよびすべてのチェック・ボックスを必ず選択し、「終了」をクリックします。
プロジェクトに build.xml ファイルが追加されます。 このファイルでは、Ant スクリプト記述言語を使用します。 このスクリプトは、プロジェクトをコンパイルし、Java™ クラス・ファイルを作成します。 これは発信する変更として識別されることに注意してください。

「パッケージ・エクスプローラー」ビューに追加された build.xml

重要: Ant スクリプトはまだ提出しないでください。

専用リポジトリー・ワークスペースの作成

プロジェクトの Jazz ビルド定義で使用するための専用リポジトリー・ワークスペースを作成できます。 ビルド時、事前に割り当てられたユーザー ID を使用して Jazz リポジトリーに接続した Jazz ビルド・エンジン は、このビルド・ワークスペースを使用して、ビルドする内容を特定します。 このエンジンは、まず、着信変更をチームのストリームから受諾し、次に、ビルド・ワークスペースの内容を処理のためにローカル・ファイル・システムにロードします。
専用のビルド・リポジトリー・ワークスペースを作成するには、以下のようにします。
  1. チーム成果物」ビューで「マイ・リポジトリー・ワークスペース」を右クリックし、「新規」 > 「リポジトリー・ワークスペース」をクリックします。
  2. 新規リポジトリー・ワークスペース (New Repository Workspace)」ウィザードの「ストリームの選択 (Select a Stream)」ページで、「ストリームを使用したフロー (Flow with stream)」ラジオ・ボタンをクリックし、下のペインで「チーム 1 ストリーム (チーム 1) (Team 1 Stream (Team 1))」を選択します。
  3. 次へ」をクリックします。
  4. 新規リポジトリー・ワークスペース」ページで、ビルド・ワークスペース名である「チーム 1 ビルド・ワークスペース (Team 1 Build Workspace)」を入力して、「次へ」をクリックします。
  5. 読み取りアクセス権」ページで、 「public」が選択されていることを確認して「次へ」をクリックします。
  6. 追加するコンポーネント」ページで、ストリームのコンポーネントが選択されていることを確認し、 「作成後にリポジトリー・ワークスペースをロード」チェック・ボックスをクリアします。
  7. 終了」をクリックします。 ビューにビルド・リポジトリー・ワークスペースが表示されます。

    「マイ・リポジトリー・ワークスペース (My Repository Workspaces)」ビューに追加されたビルド・リポジトリー・ワークスペース

ビルド定義およびビルド・エンジンの作成

プロジェクトの Jazz ビルド定義を作成することができます。 ビルド定義は新規のビルド・ワークスペースを使用するように構成されているため、実行されたビルドは、ビルドを開始する前にチームのストリームからあらゆる変更を受諾することができます。
ビルド定義を作成するには、以下のようにします。
  1. チーム成果物」ビューで、プロジェクト・フォルダーを展開します。
  2. ビルド」を右クリックして、「新規ビルド定義」をクリックします。
  3. 新規ビルド定義」ウィザードの「新規ビルド定義」ページでデフォルト設定を受諾し、「次へ」をクリックします。
  4. 一般情報」ページの「使用可能なビルド・テンプレート」ペインで、 「Ant - Jazz ビルド・エンジン」を選択し、「次へ」をクリックします。
  5. ビルド前」ページで「Jazz ソース管理」を選択し、「次へ」をクリックします。
  6. ビルド後」ページでデフォルト設定を受諾し、「次へ」をクリックします。
  7. 追加の構成」ページですべてのオプションを必ず選択し、「終了」をクリックします。ビルド定義」エディターが開きます。
  8. 以下のようにして、ビルド定義のビルド・エンジンを作成します。
    1. サポート・ビルド・エンジン」ペインで「エンジンの作成」をクリックします。
    2. ビルド・エンジンの作成 (Create Build Engine)」ダイアログ・ボックスの「エンジン ID (Engine ID)」フィールドに、PreludeBuildEngine を入力します。
    3. OK」をクリックします。
  9. ビルド定義」エディターの「Jazz ソース管理」タブをクリックします。
  10. ロード・オプション」ペインの「ロード・ディレクトリー」フィールドに、fetched と入力します。
  11. ビルド・ワークスペースを指定するには、以下のステップを実行します。
    1. ビルド・ワークスペース」ペインの「選択」をクリックします。
    2. ストリームまたはワークスペースの選択 (Select a Stream or Workspace)」ダイアログ・ボックスの「一致する項目」ペインで、チーム 1 ビルド・ワークスペース (Team 1 Build Workspace) を選択し、「OK」をクリックします。
  12. Ant」タブをクリックします。
  13. ビルド・ファイル」フィールドにパス fetched/projectname/build.xml を入力します。ここで、projectname は、ご使用の Java プロジェクトの名前です。 このチュートリアルでは、HelloWorld プロジェクトを使用します。
  14. Java ホーム (Java Home)」フィールドに、Java コンパイラーのファイル・パスを入力します。 例えば、C:¥Program Files¥IBM¥TeamConcert¥jdk などです。
  15. 保存」をクリックします。
セットアップが完了しました。 「チーム成果物」ビューを表示すると、ビルド定義およびビルド・エンジンがリストされます。

「チーム成果物」ビューのビルド定義およびビルド・エンジン

ビルド・スクリプトの送信

ビルド・エンジンでビルドの実行を開始する前に、Hello Prelude プロジェクトのビルド・スクリプト (build.xml) がストリームに送信されていないことを思い出してください。 これがないと、Jazz ビルド・エンジン に、ビルドの実行に必要な指示がないことになります。 ここで、その変更を提出します。
  1. 保留中の変更」ビューの「デフォルト・コンポーネント (Default Component)」で、「未解決 (Unresolved)」を右クリックし、「チェックインして提出 (Check-in and Deliver)」をクリックします。

    「保留中の変更」ビュー

  2. チェックインして提出 (Check-in and Deliver)」ウィザードの「変更セットのコメント (Change-set comment)」ペインでコメントを入力し、「次へ」をクリックします。
  3. ワークアイテムの関連付け」ページで、既存のワークアイテムを選択し、「終了」をクリックします。
これでビルド・スクリプトがストリームに送信されます。 ビルドの実行時にスクリプトを使用することができます。

ビルド・エンジンの開始

ビルド・エンジンを開始して、ビルドの実行準備をします。
注: ビルド・エンジンの開始時には、必ず正しい JDK が使用されるように、-vm コマンド行引数を使用して、Jazz クライアントに含まれている JDK を指定することができます。

ビルド・エンジンを開始するには、以下のようにします。
  1. コマンド行で installdir/buildsystem/buildengine/eclipse にナビゲートします。ここで、installdirビルド・システム・ツールキット インストール・ディレクトリーです。
  2. jbe -vm clientinstalldir/jazz/client/eclipse/jdk/bin/java -repository repositoryURL -userId build –pass password -engineId PreludeBuildEngine と入力します。 各項の内容は以下のとおりです。
    • clientinstalldir は、Jazz クライアントのインストール・ディレクトリーです。
    • repositoryURL はリポジトリーの URL です。 例えば、http://localhost:9080/jazz/ などです。
    • password はそのビルド・ユーザーのパスワードです。
    このチュートリアルの場合、ユーザー ID は build、ビルド・エンジンの ID は PreludeBuildEngine です。
エンジンが開始され、「コンソール」上で以下のような表示になります (ほかにもいくつかのメッセージが表示されることがあります)。
2009-06-11 16:08:47 ビルド・ループの実行中... (2009-06-11 16:08:47 Running build loop...)
2009-06-11 16:08:47 要求の待機中... (2009-06-11 16:08:47 Waiting for request...)

-sleepTime 値に 1 (秒) を指定すると、ビルド要求が即時に処理されるようになります。

ビルド・エンジンは作業を待機しています。 ビルドを実行することができます。

Jazz Team ビルド ユーザー・インターフェースのツアー

Jazz Team ビルドを使用して実行可能なビルド作業について学習します。

Jazz クライアント では、以下のビルド作業を実行できます。

これらの各作業について詳しく見ていきます。

ビルドの要求

チーム成果物」ビューからビルドを要求することができます。 また、ビルドのプロパティーを変更したり、ビルド定義の状況に影響を与えない、指定のワークスペースで実行される個人用ビルドを要求したりすることができます。
ビルドを要求するには、以下のようにします。
  1. チーム成果物」ビューで、プロジェクト・フォルダーを展開します。
  2. ビルド」フォルダーを展開して、リストからビルド名を探します。
  3. チーム 1 ビルド (Team 1 build)」を右クリックして、「ビルドを要求」をクリックします。
    1. オプション: ビルド定義の状況に影響を与えない、指定のリポジトリー・ワークスペースで実行される個人用ビルドを要求するには、「ビルド・オプション」ペインにある「個人用ビルド」を選択します。 必要に応じて、「リポジトリー・ワークスペース (Repository workspace)」フィールドおよび「コンポーネントのロード規則」フィールドを更新してください。
  4. ビルドを要求」ダイアログ・ボックスで、「実行依頼」をクリックします。
ビルド・エンジンによってビルド要求が処理されます。 この処理は、ビルド・エンジンを開始したコマンド・ウィンドウから確認することができます。

ビルドが正常に実行されなかった場合は、ビルド結果で公開されているログ・ファイルを調べてください。

ビルド結果の表示

ビルド結果を開いて、その内容を確認します。
ビルド結果エディターには「概要」、「ログ」、および「プロパティー」の各タブがあります。ビルド・スクリプトがビルド結果にコントリビュートする内容によっては、追加のタブが表示されることがあります。 例えば、ビルド・スクリプトがコンパイル結果およびダウンロードをコントリビュートする場合は、ビルド結果エディターに「コンパイル」タブおよび「ダウンロード」タブが組み込まれます。

以下の作業が完了しました。

  1. ビルド要求を実行依頼しました。 定義済みのスケジュールに従って自動的に開始されている場合があります。
  2. ビルド定義とともに、要求が Jazz ビルド・エンジン によって受け付けられました。
  3. ビルド定義で構成されたビルド・ワークスペース (「チーム 1 ビルド・ワークスペース (Team 1 Build Workspace)」) を使用して、Jazz ビルド・エンジンが「受諾」操作を実行し、ストリームに基づいてビルド・ワークスペースを更新しました。 最初のビルドで、これによってビルド・ワークスペースにビルド・スクリプト (build.xml) が新しく作成されました。これはビルドの実行に不可欠です。
  4. ビルド・ワークスペースの更新された内容が、ビルド定義の fetched というディレクトリーを使用して、ファイル・システムにロードされました。
  5. ビルド定義に指定されたビルド・スクリプトが呼び出されました。 スクリプトによって HelloWorld プロジェクトがコンパイルされ、Java クラス・ファイルが作成されました。 より高度なスクリプトでは、JAR ファイルが作成され、それが Jazz に返されて公開されます。
  6. スクリプトが完了し、ビルド・ログおよびその他のすべての公開される結果が Jazz リポジトリー に保管されました。
  7. ビルドの終了がチームに通知されました。

ビルド結果エディター

ビルド結果エディターの機能について指摘すべき点がいくつかあります。

ビルド・ログの確認

ビルド・ログを調べて、この新規のビルド・スクリプトが機能したのかどうかを確認します。
  1. 「ログ」ページに進みます。 ビルドで実行された内容をインスペクションします。

    「ログ」ページ

  2. ログ・ファイルを選択して、「開く」をクリックします。 実行されたほとんどの関連アクティビティーをここで確認することができます。

    ビルド・ログの例

    これで、Jazz がビルド情報をユーザーおよびチームにいかに分かりやすく示しているか分かることと思います。

ビルドの状況のモニター

ビルドの状況は、受動的に取得することも、能動的に取得することもできます。 受動的なビルド情報は、「チーム・セントラル」ビューの「ビルド」セクションと、画面に短時間表示されるビルド・アラートの 2 とおりの方法で提供されます。

ビルドが完了すると、「チーム・セントラル」ビューの「ビルド」セクションが、ユーザーが参加しているチームの完了したビルドの状況を使用して更新されます。

このビューの選択したビルドについて、ビルド結果を表示したり、新規のビルドを要求したりすることができます。

状況の更新頻度をカスタマイズするには、次のようにします。

使用可能なビルドの検索

チーム成果物」ビューの「ビルド」フォルダーから コンテキスト・メニュー「ビルド結果の表示」を使用してアクセス可能な「ビルド」ビューで、 使用可能なビルド、実行中のビルドの状況、および実行を待機しているビルドを確認することができます。

「ビルド結果の表示」メニュー項目

ビューの内容は、列を選択することによってソートできます。 関連するいくつかのコンテキスト・メニュー・アクションがあります。ビルドを、ビルドの元になったストリームと比較したり、ビルドから新規のストリームを作成したりすることができます (実績のあるコード・ベースから新規のコード・ベースを作成する場合に役立ちます)。

「ビルド結果」ビュー

Web ベースの Jazz ダッシュボードにビルド・ビューレットを定義してビルド結果を表示することもできます。

Web ベースの Jazz ダッシュボードのビルド結果

Jazz の開発チームでは、そのビルド・プロセスを長期に渡ってカスタマイズしてきました。 Jazz のビルド結果エディターには、「コンパイル (Compilation)」、「JUnit」、および「ダウンロード (Downloads)」というラベルの追加のタブ、および「外部リンク」があります。 ビルド・プロセスの潜在的な機能を理解していただくために、Jazz ビルドからのスクリーン・ショットを以下に示します。

カスタマイズされたビルド結果の例

演習のチェックポイント

この演習では、Jazz Team ビルド機能の基本について学習しました。
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