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演習 6: ソース管理

ソース管理コンポーネントでは、プロジェクト内でのソース・コードおよび他の成果物の保管、取り出し、および共用を取り扱います。 Rational Team Concert™ ソース管理 (SCM) サポートはさまざまな開発シナリオで簡単に使用することができますが、通常のファイル・ベースの SCM システムとは若干異なっています。ここでは、その使用法のモデルについて概説します。
Rational Team Concert では、変更をチームと共用する準備ができているかどうかとは無関係に、ユーザーが、それらの変更の追跡およびバージョン管理を行う SCM の機能の恩恵を受けられることを目指しています。 したがって、自分が行った変更をいつチーム側から使用できるようにするかに関係なく、それらの変更を保管する独自のプライベート・リポジトリー・ワークスペースをユーザーは持つことになります。 わずか数時間で変更の共用を決定することもあれば、1 日かそれ以上経ってから決定することもあります。 重要なのは、変更がリポジトリー内にあり、それらをいつチーム側から使用できるようにするかを決定することです。 リポジトリー・ワークスペースをロードすると、その中のファイルおよびフォルダーが、ご使用のコンピューター上の Eclipse ワークスペースに転送されます。 Eclipse ワークスペースからリポジトリー・ワークスペースに変更をプッシュするには、変更をチェックインします。

チームの作業を保管するには、ストリームを使用します。 変更をチーム側から使用できるようにする場合は、それらをリポジトリー・ワークスペースからストリーム提出します。 他のチーム・メンバーによる変更を取り込む場合には、それらをストリームから受諾します。 別のリポジトリー・ワークスペースから変更を直接受諾して、チーム・メンバー間できめの細かい変更の共用を行うこともできることに注意してください。 例えば、2 人のチーム・メンバーが小さなバグ修正のためにコラボレーションする場合や、ある変更を開始したメンバーが休暇に入るため、別のチーム・メンバーが作業を引き継ぎ、後でその変更を提出する場合などです。

ソース管理のワークフロー

リポジトリー・ワークスペース内で行ったすべての変更は、変更セットの中で追跡されます。 各変更セットは、1 つ以上のファイルまたはフォルダーに対する、明確かつ途中段階にある変更の集合から構成されています。 変更セットには、コメントやその変更を行った理由を含める (通常は、関連するワークアイテムを参照することによって行います) こともできます。 ソース・ファイル・ベースは、変更セットがそれまでのものに積み重なることで絶えず増大した結果として形成されるものにすぎません。 各リポジトリー・ワークスペースまたはストリームは、一連の変更セットに基づいています。

ここでは、変更を行い、日常の作業でこれらの概念を用いる方法について学習します。

リポジトリー・ワークスペースの作成

最初のステップは、チーム・エリアのストリームの検索です。 ストリームは、コードをチームと共用するための場所です。
  1. チーム成果物」ビューから、「Prelude」プロジェクト・エリアを展開し、 「ソース管理」を展開します。次に、「チーム 1 ストリーム (Team 1 Stream)」を展開すると、 コンポーネントが表示されます。「ソース管理」の下に項目が表示されない場合は、スクリーン・ショットに示されている「マイ・フィルターのカスタマイズ」ドロップダウンを確認してみてください。このドロップダウンを開いて、「すべてのチーム・エリア」が選択されているか確認します。
    注: 複数のチームのメンバーになったときに、カスタマイズされたフィルターが非常に便利であることが分かるはずです。

    ストリームおよびリポジトリー・ワークスペースは、別々のコンポーネントに分割することができます。各コンポーネントにそれぞれ独自のヒストリーがあるため、各部分を半ば独立した形で進化させ、個別にデプロイする階層化ソフトウェアを作成しているチームにとって、製品を複数のコンポーネントに分けることは有益です。 単純なリポジトリー・ワークスペースおよびストリームは、単一のコンポーネントで構成されています。 今回の例の場合、チーム 1 ストリームには、ファイルおよびフォルダーを含んだコンポーネント (Default Component という名前) が 1 つだけあります。

    チーム 1 ストリームの Default Component ストリーム

  2. チーム 1 ストリーム (チーム 1) (Team 1 Stream (Team 1))」というラベルの、チーム・エリアのストリームを選択します。
  3. 右クリックして、「新規」 > 「リポジトリー・ワークスペース」をクリックします。
  4. 新規リポジトリー・ワークスペース」ウィザードの 「新規リポジトリー・ワークスペース」ページで、「リポジトリー・ワークスペース名」フィールドに「Chris on Prelude」と入力して 「終了」をクリックします。 このアクションで、Eclipse ワークスペースに新規のリポジトリー・ワークスペースが作成され、ロードされます。まだストリームにコードがないため、ロードは短時間で完了するはずです。
  5. ロードされたリポジトリー・ワークスペースは、「保留中の変更」ビューに表示されます。「保留中の変更」ビューが表示されていない場合は、「ウィンドウ」 > 「ビューの表示」 > 「保留中の変更」とクリックしてください。
  6. オプション: チームへの招待のチュートリアルが完了している場合には、プロジェクト・エリアの初期化時に作成されたワークアイテムの 1 つが完了していることになります。 「ワークアイテムを開く」照会を再度実行して、「[チームに参加] リポジトリー・ワークスペースの作成 ([Joining a Team] Create a Repository Workspace)」ワークアイテムに注目します。 このワークアイテムを開き、前に「チーム・メンバーの定義」ワークアイテムを解決したときと同様にこの項目を解決します。
ロードされたリポジトリー・ワークスペースは、Eclipse ワークスペース内のロードされたファイルまたはフォルダーを変更するたびにその変更が追跡され、「保留中の変更」ビューに表示されるという点で特別です。 ここでは、変更を管理して、以下のような一般的な作業を実行することができます。
  • リポジトリー・ワークスペースに変更をチェックインする。
  • 変更を変更セットに編成する。
  • 行った変更を元に戻す。
  • 変更セットとワークアイテムを関連付ける。

「保留中の変更」ビューは、実際には開発者による日常の作業の中心に位置するものであり、次のセクションでは、もっと多くの内容について学習することになります。

コードのオーサリング

ストリームに参加した後は、コードの作成やプロジェクトを構成する成果物の作成ができます。
小さなプロジェクトの Java™ パッケージがいくつかある場合には、Rational Team Concert を試してみることができます。コンテキスト・メニューから「インポート」オプションを選択することで、「パッケージ・エクスプローラー」ビューから Eclipse ワークスペースにそれらのプロジェクトをインポートすることができます。 しかし、開始する元となる適切なコードがない場合には、単純な Java アプリケーションを作成するか、単一のテキスト・ファイルを含む単純なプロジェクトを作成します。
  1. Jazz クライアントで単純な Java アプリケーションを作成する際のヘルプを参照するには、「ヘルプ」 > 「虎の巻」とクリックしてください。
  2. 虎の巻の選択」ダイアログ・ボックスで「Java 開発」カテゴリーを展開して、「Hello World アプリケーションの作成」をクリックします。「OK」をクリックします。 Jazz クライアント・ウィンドウに虎の巻が表示され、単純な Java アプリケーションの作成ガイドが示されます。さらに詳しいヘルプについては、Eclipse の「Java Development User Guide」を参照してください。
    注: このチュートリアルの作成者により、Hello Prelude という単純な Java プロジェクトが作成されています。

Jazz ソース管理によるコードの管理

Eclipse ワークスペースにコードをインポートするかまたは手動でオーサリングした後、 サーバー上のリポジトリー・ワークスペースにコードをチェックインして、 プロジェクトをチームと共用することができます。
チェックインは、Eclipse ワークスペースからリポジトリー・ワークスペースにコードを移動するプロセスです。 リポジトリー・ワークスペースから、チームと共用するストリームへのコードの移動を表す用語は、提出です。 Jazz ソース管理の設定を変更して、自動チェックインを指定できます。切断中に作業を行い、後で再接続した際にチェックインすることもできます。

プロジェクトを Jazz ソース管理にチェックインするには、以下のようにします。

  1. Java」パースペクティブを開きます。これが現行のパースペクティブでない場合には、「ウィンドウ」 > 「パースペクティブを開く」 > 「Java」とクリックします。
  2. パッケージ・エクスプローラー」ビューから「Hello Prelude」プロジェクトを選択します。
  3. 右クリックして、「チーム」 > 「プロジェクトの共用」をクリックします。
  4. プロジェクトの共用」ページの「プロジェクトの共用」ウィザードで「Jazz ソース管理」を選択し、「次へ」をクリックします。
  5. コンポーネントの選択」ページの上部にあるドロップダウン・リストから、「chris@localhost」リポジトリー接続を選択します。「既存リポジトリー・ワークスペース内のコンポーネントの選択」も選択するようにしてください。「Chris on Prelude」を展開し、「Default Component」を選択します。 「次へ」をクリックします。
  6. おそらく何も変更する必要はありませんが、「無視するリソースの確認 (Review Ignored Resources)」ページで、共用の対象として無視するリソースを確認するか、完全な内容にしてください。「終了」をクリックします。 これでリポジトリー・ワークスペースにコードがチェックインされましたが、ストリームへの送信は行われていません。
  7. オプション: 保留中の変更」ビューに切り替えます。「Java」パースペクティブから、「ウィンドウ」 > 「ビューの表示」 > 「保留中の変更」とクリックしてください。 プロジェクトのロードおよび共用を実行した際に既に開いているはずです。「デフォルト・コンポーネント」を展開すると、共用したプロジェクトに変更セットがあることが分かります。共用操作が追跡され、対応する変更がリポジトリー・ワークスペースに自動的にチェックインされています。
  8. オプション: 変更セットに既に「プロジェクトの共用」というコメントが関連付けられています。コメントを変更したり、自動的にコメントを取得しない今後の変更セットにコメントを追加したりするには、変更セットを右クリックしてから「コメントの編集」をクリックします。 編集ペインで、コメントを入力して「Enter」をクリックします。
  9. オプション: コンポーネント・ディレクトリー構造をナビゲートするには、 「保留中の変更」ビューで、「デフォルト・コンポーネント」を右クリックして 「表示」 > 「リポジトリー・ファイル」をクリックします。 「リポジトリー・ファイル (Repository Files)」ビューに、共用したプロジェクトが表示されます。
  10. オプション: リポジトリー・ワークスペースのヒストリーを調べるには、 「保留中の変更」ビューで、「デフォルト・コンポーネント」を右クリックして 「表示」 > 「ヒストリー」をクリックします。 「ヒストリー」ビューに、コンポーネントが作成されたときの初期の変更セットと、先ほど作成した 2 つ目の変更セットの両方がリストされます。 変更セットの内容を検討するには、変更セットをダブルクリックします。 「変更エクスプローラー」ビューが開いて、 変更セット内のファイルを参照できます。

変更のチームへの送信

このセクションでは、作成したコードを表す変更セットを表示します。 そして、変更セットを既存のワークアイテムと関連付けます。 最後に、コードをストリームに提出します。
行ったすべての変更は、リポジトリー内のリポジトリー・ワークスペースに保管されています。

変更を提出して、他のチーム・メンバーが使用できるようにするには、次のようにします。

  1. 保留中の変更」ビューで、変更セットを右クリックして 「ワークアイテムの関連付け」をクリックします。
  2. 「ワークアイテムの選択」ダイアログ・ボックスで、 「自分の割り当てのみ」チェック・ボックスをクリアします。
  3. 含まれる ID またはテキスト」フィールドに share と入力します。 要約に share という単語が含まれるワークアイテムが表示されます。
  4. Jazz ソース管理とのコードの共用」というラベルのワークアイテムを選択し、「OK」をクリックします。 このアクションで、作成したコードと、その過程で解決したワークアイテムの間に接続が作成されます。
  5. ワークアイテムを提出して解決するには、「保留中の変更」ビューで、次のステップを実行します。
    1. 変更セットを右クリックして「ワークアイテムを提出して解決」をクリックします。
    2. 提出と解決」ダイアログ・ボックスで、 「ワークアイテムの解決」チェック・ボックスが選択されていることを確認します。
    3. ワークアイテムにコメントを追加」ペインで、ワークアイテムに追加するコメントを入力します。
    4. 終了」をクリックします。
    ワークアイテムが解決されて、サーバー上のリポジトリー・ワークスペースからチーム・エリアのストリームにコードが提出され、 他のチーム・メンバーがコードにアクセスできるようになりました。
  6. オプション: ヒストリー」ビューを最新表示します。 ビューには、変更セットがワークアイテムに関連付けられていることが示されます。
  7. オプション: チーム成果物」ビューの「チーム 1 ストリーム (Team 1 Stream)」で、 「デフォルト・コンポーネント」を右クリックして 「表示」 > 「ヒストリー」をクリックします。 「ヒストリー」ビューに、ストリーム内の変更セットが表示されます。
  8. オプション: ヒストリー」ビューで、 変更セットに関連付けられたワークアイテムを開くには、 変更セットを右クリックして「ワークアイテムを開く」をクリックします。 ワークアイテムは解決済みであり、この作業用に作成した変更セットへのリンクを含んでいます。

演習のチェックポイント

この演習では、Jazz ソース管理の基本について学習しました。
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