付録A. Debug Tool で使用するデータ・セット

Debug Tool は次のデータ・セットを使用します。

C および C++ ソース
このデータ・セットはコンパイラーへの入力として使用され、永続 PDS メンバー、順次ファイル、または HFS ファイルに保持しなければなりません。データ・セットは、ファイルの連結ではなく、単一ファイルでなければなりません。Debug Tool は、このデータ・セットを使用して、実行中のプログラムを表示します。

C および C++ コンパイラーは、ソース・データ・セットの名前をロード・モジュール内に保管します。Debug Tool は、このデータ・セット名を使用してソースにアクセスします。

このデータ・セットはオリジナルのソースではない可能性があります。例えば、プログラムが CICS® 変換プログラムでプリプロセスされている可能性があります。プリプロセッサーを使用する場合には、コンパイラーへの入力となったデータ・セットを永続データ・セット内に保存して、後で Debug Tool で利用できるようにしておく必要があります。

このデータ・セットは Debug Tool によって何回も読み取られることになるので、以下のいずれかを行うことをお勧めします。

データ・セットを割り振る際に SUBSYS=ssss パラメーターを指定する必要があるライブラリー・システムでソース・コードを管理する場合は、お客様またはお客様のサイトで ssss の値を提供する EQAOPTS SUBSYS コマンドを指定する必要があります。これは、CICS でプログラムをデバッグするときはサポートされません。 EQAOPTS コマンドの指定方法については、「Debug Tool リファレンスおよびメッセージ」または「Debug Tool カスタマイズ・ガイド」の『EQAOPTS コマンド』トピックを参照してください。

現在の状態に以下の条件が該当する場合、.mdbg ファイルにソースのコピーがあるので、ソースにアクセスする必要はありません。

COBOL リスト
このデータ・セットはコンパイラーによって生成されるもので、永続 PDS メンバー、順次ファイル、または HFS ファイルに保持しなければなりません。Debug Tool はこのデータ・セットを使用して、実行中のプログラムを表示します。

COBOL コンパイラーは、リスト・データ・セットの名前を ロード・モジュール内に保管します。Debug Tool は、このデータ・セット名を使用してリストにアクセスします。

Debug Tool では COBOL LIST コンパイラー・オプションで作成された出力を使用しません。

SEPARATE サブオプションを指定してコンパイルされた COBOL プログラムは、リスト・ファイルを保存する必要がありません。その代わり、分離デバッグ・ファイル SYSDEBUG を保存する必要があります。

VS COBOL II コンパイラーでは、リスト・データ・セットの名前を保管しません。Debug Tool は、名前を userid.cuname.LIST の形式で作成し、その名前を使用してリストを探し出します。

このデータ・セットは Debug Tool によって何回も読み取られることになるので、以下のいずれかを行うことをお勧めします。

EQALANGX ファイル
Debug Tool は、このデータ・セットを使用してアセンブラー・ソース・ファイルおよび非言語環境プログラム COBOL ソース・ファイルのデバッグ情報を取得します。このデータ・セットは、永続的 PDS メンバーの場合と順次ファイルの場合があります。Debug Tool を始動する前に、このデータ・セットを作成してください。データ・セットの作成には、EQALANGX プログラムを使用できます。高水準アセンブラーからの SYSADATA 出力、または IBM® OS/VS COBOL または IBM VS COBOL II コンパイラーからのリストを、 EQALANGX プログラムへの入力として使用します。
PL/I ソース (Enterprise PL/I のみ)
このデータ・セットはコンパイラーへの入力として使用され、永続 PDS メンバー、順次ファイル、または HFS ファイルに保持しなければなりません。Debug Tool はこのデータ・セットを使用して、実行中のプログラムを表示します。

Enterprise PL/I コンパイラーは、ソース・データ・セットの名前を ロード・モジュール内に保管します。Debug Tool は、このデータ・セット名を使用してソースにアクセスします。

このデータ・セットはオリジナルのソースではない可能性があります。例えば、プログラムが CICS 変換プログラムでプリプロセスされている可能性があります。プリプロセッサーを使用する場合には、コンパイラーへの 入力となったデータ・セットを永続データ・セット内に保存 して、後で Debug Tool で利用できるようにしておく必要があります。

このデータ・セットは Debug Tool によって何回も読み取られることになるので、以下のいずれかを行うことをお勧めします。

データ・セットを割り振る際に SUBSYS=ssss パラメーターを指定する必要があるライブラリー・システムでソース・コードを管理する場合は、お客様またはお客様のサイトで ssss の値を提供する EQAOPTS SUBSYS コマンドを指定する必要があります。これは、CICS でプログラムをデバッグするときはサポートされません。 EQAOPTS コマンドの指定方法については、「Debug Tool リファレンスおよびメッセージ」または「Debug Tool カスタマイズ・ガイド」の『EQAOPTS コマンド』トピックを参照してください。

PL/I リスト (上記以外のすべてのバージョンの PL/I コンパイラー)
このデータ・セットはコンパイラーによって生成されるもので、永続ファイルに保持しなければなりません。Debug Tool はこのデータ・セットを使用して、実行中のプログラムを表示します。

PL/I コンパイラーでは、リスト・データ・セットの名前を保管しません。Debug Tool は、userid.cuname.LIST という形式の名前からデータ・セット内でリストを探します。

Debug Tool では PL/I コンパイラー LIST オプションで作成された出力を使用しません。NOLIST を指定するとパフォーマンスが向上します。

このデータ・セットは Debug Tool によって何回も読み取られることになるので、以下のいずれかを行うことをお勧めします。

分離デバッグ・ファイル
このデータ・セットはコンパイラーによって生成され、Debug Tool が使用する情報を保管します。このファイルを生成するには、以下のコンパイラー・オプションを使用してプログラムをコンパイルする必要があります。

以下のいずれかの形式でファイルを保存します。

コンパイラーは、分離デバッグ・ファイルのデータ・セット名をロード・モジュール内に保管します。付録B. Debug Tool によるソース、リスト、または 分離デバッグ・ファイル の検索方法で説明されているように、別のデータ・セット名を指定しない限り、Debug Tool は、このデータ・セット名を使用してデバッグ情報にアクセスします。

このデータ・セットは Debug Tool によって何回も読み取られることになるため、効率を高めるために、以下のいずれかのステップを実行してください。

.mdbg ファイル
.mdbg ファイルは dbgld コマンドまたは CDADBGLD ユーティリティーによって作成されます。このファイルには、ロード・モジュールまたは DLL 内の全プログラムの .dbg ファイルがすべて含まれています。z/OS XL C/C++ バージョン 1.10 から、このファイルにソース・ファイルも保存されて (取り込まれて) いる場合、Debug Tool がこのファイルから情報を取得できるようになりました。 .mdbg ファイルは、-c オプションを指定した dbgld コマンド、または CAPSRC オプションを指定した CDADBGLD ユーティリティーを使用して、取り込まれたソースを含めて作成します。

これらのコマンドの使用方法については、z/OS XL C/C++ ユーザーズ・ガイド を参照してください。

設定ファイル

このデータ・セットには、ユーザーのセッションをカスタマイズ する Debug Tool コマンドが入っています。これを使用することにより、例えば、Debug Tool で設定されたデフォルトの画面カラーを変更することができます。このファイルを永続 PDS メンバーまたは順次ファイルに保管してください。

設定ファイルは、直接 (例えば、TEST ランタイム・オプションを使用) または EQAOPTS PREFERENCESDSN コマンドを使用して指定することができます。手順については、設定ファイルの作成を参照してください。

CICS 領域には、設定ファイルに対する読み取り権限が必要です。

グローバル設定ファイル

これはすべてのユーザーが一般的に使用可能な設定ファイルです。これは EQAOPTS GPFDSN コマンドを使用して指定されます。EQAOPTS コマンドの指定方法については、「Debug Tool リファレンスおよびメッセージ」または「Debug Tool カスタマイズ・ガイド」の『EQAOPTS コマンド』トピックを参照してください。 グローバル設定ファイルが存在する場合、Debug Tool はそのファイル内のコマンドを実行した後、設定ファイルで検出されるコマンドを実行します。

CICS 領域には、グローバル設定ファイルに対する読み取り権限が必要です。

コマンド・ファイル

このデータ・セットには、デバッグ・セッションを制御 する Debug Tool コマンドが入っています。これを使用することにより、例えば、ブレークポイントの設定や共通変数用のモニターの設定を行うことができます。これを永続 PDS メンバーまたは順次ファイルに保管してください。

設定ファイルを指定した場合、Debug Tool は設定ファイルに指定されたコマンドを実行した後に 、コマンド・ファイル内のコマンドを実行します。

コマンド・ファイルは、直接 (例えば、TEST ランタイム・オプションを使用) または EQAOPTS COMMANDSDSN コマンドを使用して指定することができます。これが EQAOPTS COMANDSDSN コマンドを使用して指定されている場合は、PDS または PDSE 内に存在し、そのメンバー名が最初のエンクレーブの初期ロード・モジュールの名前と一致しなければなりません。コマンド・ファイルの作成については、コマンド・ファイルの作成 を参照してください。

CICS 領域には、コマンド・ファイルに対する読み取り権限が必要です。

EQAOPTS ファイル
このデータ・セットには、デバッグ・セッションの初期設定値とオプションを制御する EQAOPTS コマンドが入っています。これを永続 PDS メンバーまたは順次ファイルに保管してください。EQAOPTS コマンドの指定方法については、「Debug Tool リファレンスおよびメッセージ」または「Debug Tool カスタマイズ・ガイド」の『EQAOPTS コマンド』トピックを参照してください。

レコード形式は F または FB のいずれかでなければならず、論理レコード長は 80 でなければなりません。

CICS 領域には、EQAOPTS ファイルに対する読み取り権限が必要です。

ログ・ファイル

Debug Tool は、このファイルを使用してデバッグ・セッションの進行を記録します。Debug Tool は、コマンドの実行の結果に加えて、入力されたコマンドのコピーを保管します。この結果はコメントとして保管されます。これにより、ログ・ファイルを、後続のデバッグ・セッションでコマンド・ファイルとして使用できます。ログ・ファイルを永続 PDS メンバーまたは順次ファイルに保管してください。Debug Tool がこのデータ・セットに書き込むので、ログ・ファイルを順次ファイルとして保管して、このファイルの競合を解消してください。

Debug Tool は、リモート・デバッグ・モードではログ・ファイルを使用しません。

ログ・ファイル指定は、次のいずれかのオプションでなければなりません。

ログ・ファイルは、直接 (例えば、INSPLOG DD または SET LOG コマンドを使用) または EQAOPTS LOGDSN コマンドを使用して指定することができます。手順については、ログ・ファイルの作成を参照してください。

DB2® ストアード・プロシージャーの場合は、複数のユーザーが同じログを使用しないようにするために、EQAOPTS LOGDSN コマンドを使用しないでください。

CICS の場合は、CICS でのデバッグ時の制約事項 に記載されている特別な状況を確認してください。

設定値ファイルの保存 (SAVESETS)
Debug Tool はこのファイルを使用して、ある Debug Tool セッションから次のセッションの間で、SET コマンドからの設定内容の保存と復元を行います。 RECFM が VB で LRECL>=3204 を指定した順次ファイルを使用する必要があります。

このデータ・セットのデフォルト名は、userid.DBGTOOL.SAVESETS です。ただし、このデフォルトは EQAOPTS SAVESETDSN コマンドを使用して変更することができます。非対話式モード (MVS™ バッチ・モードで専用の端末を使用しない) では、このファイルに対応する DD 名は INSPSAFE です。

ブレークポイントとモニター仕様の情報を保存している同じファイルに、 設定情報を保存することはできません。

保存設定ファイルは、リモート・デバッグ・セッションでは使用されません。

現行ユーザーがログインしていないか、または現行ユーザーがデフォルトのユーザー ID でログインしている場合は、この設定の自動保存と復元は CICS の下ではサポートされません。 CICS 内で実行しようとする場合、CICS 領域では、設定ファイルを保存するために更新権限が必要です。

設定ファイルの保存は、DB2 ストアード・プロシージャーのデバッグ時は自動的にはサポートされません。

お客様またはお客様のサイトで EQAOPTS SAVESETDSNALLOC コマンドを使用して、このファイルを作成し、設定値の保存と復元を使用可能にするように Debug Tool に指示することができます。手順については、設定、ブレークポイント、およびモニター指定の保存と復元を参照してください。

ブレークポイントとモニター指定ファイルの保存 (SAVEBPS)
Debug Tool はこのファイルを使用して、ある Debug Tool セッションから次のセッションの間で、そのブレークポイント、モニター、および LDD 指定内容の保存と復元を行います。 RECFM が VB で LRECL >= 3204 を指定した PDSE または PDS データ・セットを使用する必要があります。(PDSE を使用することをお勧めします。)

このデータ・セットのデフォルト名は、userid.DBGTOOL.SAVEBPS です。ただし、このデフォルトは EQAOPTS SAVEBPDSN コマンドを使用して変更することができます。非対話式モード (MVS バッチ・モードで専用の端末を使用しない) では、このファイルに対応する DD 名は INSPBPM です。

設定情報を保存している同じファイルに、 ブレークポイントとモニター仕様の情報を保存することはできません。

保存ブレークポイントとモニターの指定ファイルは、リモート・デバッグ・セッションでは使用されません。

現行ユーザーがログインしていないか、または現行ユーザーがデフォルトのユーザー ID でログインしている場合は、このブレークポイントとモニター指定の自動保存と復元は、CICS の下ではサポートされません。CICS で 実行している場合、CICS 領域には保存ブレークポイントおよびモニター仕様ファイルに対する更新権限が必要です。

ブレークポイントおよびモニターの仕様ファイルの保存は、DB2 ストアード・プロシージャーのデバッグ時は自動的にはサポートされません。

お客様またはお客様のサイトで EQAOPTS SAVEBPDSNALLOC コマンドを使用して、このファイルを作成し、ブレークポイントとモニター指定の保存と復元を使用可能にするように Debug Tool に指示することができます。手順については、設定、ブレークポイント、およびモニター指定の保存と復元を参照してください。


9.
環境変数を指定できる場合は、環境変数 EQA_USE_MDBG を YES または NO に設定できます。これにより、EQAOPTS MDBG コマンドのすべての設定 (デフォルト設定を含む) がオーバーライドされます。