Rational Developer for System z バージョン 7.6.1

3270 ISPF 上級者向けクイック・スタート・ガイド

本書について

この「クイック・スタート・ガイド」は、開発プラットフォーム を Rational® Developer for System z® の使用に切り替える ISPF の熟練ユーザーを支援することを目的としています。 これ以降のページでは、 一部の主要な概念、各種の成果物、さらには、そうした概念と成果物の相関性について説明します。 ISPF で実行する一部のルーチン・タスクを Developer for System z で実行できる仕組みについて説明します。 本書の最後で、Eclipse のヘルプ機能について説明します。

Rational Developer for System z、Rational Software 開発プラットフォーム、および Eclipse の主要な概念

Developer for System z には、リモート・システム・コンポーネントとワークステーション・クライアント・コンポーネントがあります。 リモート・システム・コンポーネントは一般に、サイトのシステム・プログラマーによってインストールされ、アプリケーション・プログラマーに対して「透過的」です。本書の以降のページで使用する Rational Developer for System z という用語は、リモート・システム・コンポーネントと特に明記がない限り、ツール (Eclipse プラットフォームで動作するグラフィカル・ユーザー・インターフェース) のワークステーション・コンポーネントを指します。Rational Developer for System z は、Rational Software 開発プラットフォームにビルドされる一連の開発ツールです。 Rational Software 開発プラットフォーム自体は、Eclipse プラットフォームにビルドされます (www.eclipse.org)。 Eclipse プラットフォームはフレームワークとインフラストラクチャーの提供者とみなし、 Rational Software 開発プラットフォームおよび Rational Developer for System z はツールのコントリビューターとみなしてください。 これらのツールの提供者からはそれぞれ、Eclipse 上で稼働する、 一連の言語固有の開発ツールが供給されます。 Rational Software 開発プラットフォームからは、Web サイトや Java™ アプリケーションなどの開発をサポートするツールが提供されます。Rational Developer for System z からは、COBOL、PL/I、 アセンブラーなど、従来の言語で書かれたエンタープライズ・アプリケーションの開発、 保守、Web サービス使用可能化をサポートするツールが提供されます。

Rational Developer for System z は、多くのビュー のセットで構成されています。一般的には、ビューは 開発環境で特定の目的を果たし、コヒーレント・ビューのセット、つまりパースペクティブ は特定の使命を果たします。例えば、z/OS® プロジェクト・パースペクティブは、 「z/OS プロジェクト」ビュー、エディター、「リモート・システム」ビュー、 「チーム」ビュー、「プロパティー」ビュー、 「アウトライン」ビュー、「リモート・エラー・リスト」ビュー、 「z/OS ファイル・システム・マッピング」ビュー、 および「リモート・システム詳細」ビューなどのビューから構成されています。 これらの各ビューで、 ユーザーは特定のタスクを実行できます。これらのビューがまとまって z/OS プロジェクト・パースペクティブを構成します。 このパースペクティブの役割は、CICS®、IMS™、または DB2® 上で実行されるエンタープライズ・アプリケーションの開発および保守をサポートすることです。

Rational Developer for System z アーキテクチャーの理解

z/OS オペレーティング・システムの アーキテクチャーは、ワークステーション・オペレーティング・システムの アーキテクチャーとはまったく異なります。Windows® などの異種システムへのリモート・システム・データ・セットおよびファイルの正しいトランスポートを容易にするには、 次のパラメーターを Rational Developer for System z で明示的に定義しなければなりません。
  1. マッピング。次のファイル転送パラメーターを定義します。
    1. トランスポートするファイル・タイプ (ファイル拡張子マッピング)
    2. 転送モード (テキストまたはバイナリー転送)
    3. 2 つのシステムで使用されるコード・ページ
  2. ポート - 2 つのシステム間のトランスポートで使用される通信「チャネル」。
次のセクションでは、Rational Developer for System z におけるこれらのパラメーターの内容およびパラメーターそれぞれの役割について簡単に説明します。
  1. マッピング
    • ファイル・タイプ、転送モード、およびコード・ページ。

      ほとんどの オペレーティング・システムでは、ファイルをファイル拡張子で認識および区別 します。例えば、拡張子が .txt のファイルはテキスト・ファイルとして処理され、 拡張子が .html のファイルはハイパーテキスト言語ファイルとして処理されます。 しかし、z/OS システムには、ファイル拡張子の概念がありません。そのため、 各データ・セット・タイプまたはファイルについては、PL/I ソース・ファイルであれ、COBOL コピーブックであれ、ワークステーションにトランスポートされて正しく処理されるように、 Rational Developer for System z で明示的に定義しなければなりません。

      ファイル・タイプを定義するのに加えて、 ファイルをテキストとしてトランスポートするのか、バイナリーとしてトランス ポートするのかを指定することも重要です。これは転送モードに反映されます。

      最後に、コンピューター・システムは、各システムで指定されたコード・ ページに従って、キーボード入力を文字値へ変換したり、文字値をキーボード 入力へ変換したりします。z/OS システムでは EBCDIC ファミリーのコード・ ページが採用されていますが、ほとんどのワークステーション・システム では ASCII ファミリーのコード・ページが使用されています。この 2 つのオペレーティング・システム間でファイルをトランスポートする際は、 コード・ページ変換を考慮に入れて、宛先システムでファイルが正しく変換され、 表示されるようにすることが重要です。 Rational Developer for System z ではこの変換は自動的に処理しますが、 そのためには、z/OS システムおよびワークステーション・システムそれぞれで 使用されているコード・ページの情報を前もって入手しておく必要があります。 この情報は、ホスト・コード・ページ およびローカル・コード・ページ の仕様から Rational Developer for System z に供給されます。

    • マッピングの構成。

      構成可能なマッピング で、これらの 目的が達成されます。Rational Developer for System z には、セットアップを簡素化する一連のマッピング・デフォルト設定が用意されています。 例えば、デフォルトで、end 修飾子 COBOL が付いたデータ・セットはすべて、 ワークステーションにトランスポートされて開かれたときに、 そのメンバーが COBOL ソース・ファイルとして処理されるように、 拡張子 .cbl およびテキスト転送モードにマップされます。 同様に、end 修飾子「LOAD」が付いたロード・モジュールは、.exe にマップされ、 トランスポートされたときにワークステーション上でバイナリー・ファイルとして処理されます。 各 z/OS システムに、 独自のマッピングを指定できます。「z/OS ファイル・システム・マッピング」ビューを使用することにより、サイトの必要に応じてマッピングをカスタマイズすることができます。

  2. ポート

    ポートは、 特定の z/OS システムの Rational Developer for System z リモート・システム・コンポーネントと Rational Developer for System z ワークステーション・コンポーネントの間で取り決めた通信チャネルとしてみることができます。 一般に、サイトのシステム・プログラマーであれば、インストール中に「サーバー・ランチャー設定」にある「リモート・デーモン・ポート」または「REXEC ポート」、および「JES ジョブ・モニター・ポート」という、2 つの主要な Rational Developer for System z リモート・システム・コンポーネントのそれぞれにポート番号を定義しています。z/OS システムに接続する Rational Developer for System z のセットアップでは、 リモート・システムとワークステーション間の通信を簡素化する接続作成プロセスの中で、これらのポート番号を入力する必要があります。

Rational Developer for System z での作業

ISPF のメニュー方式インターフェースから、ビューで構成されているグラフィカル・ユーザー・インターフェース (GUI) への移行は、ISPF 上級ユーザーにとっても難しい調整作業の 1 つです。これらのビューを操作する方法を理解するには、まず各ビューでサポートされる 機能を理解する必要があります。Rational Developer for System z のいくつかの主要なビューの主な目的と、 それぞれのビューで実行できるタスクの種類について、以下で簡単に説明します。 これらの ビューの詳細については、資料を参照してください。
  • リモート・システム

    このビューは、特に z/OS リモート・システムへの接続およびその他の接続を サポートします。接続構成が作成されたら、このビューを使用して、リモート・ データ・セット、ファイル、ジョブなどを参照できます。

    データ・セット割り振り、名前変更、または削除 (ISPF オプション 3.2)、 移動とコピー (3.3)、データ・セット・リスト作成 (3.4) などの ISPF ユーティリ ティー機能、およびその他の共通ユーティリティーは、このビューで提供される 機能を使用して実行できます。

    同様に、ジョブ・サブシステムに実行依頼したジョブは、z/OS システム接続定義にある JES サブシステムのもとで表示したり、操作したりすることができます。 ジョブのリストを表示したり、ビューの 出力、パージ、キャンセル、保留などの操作をこれらのジョブに実行したりする ことができます。これらのジョブの詳細表示については、 これらのジョブを表形式のビューに表示するオプションもあります (コンテキスト・メニューから「テーブルに表示」を選択)。 この場合、ジョブはさらに ISPF 風の表形式のビューに表示されます。 ジョブ出力を表示するには、完了したジョブを強調表示し、「開く」を選択します。 ジョブ出力は、デフォルト・テキスト・エディターで表示されます。

    z/OS 接続構成をセットアップする方法やデータ・セットとジョブを表示するためにフィルターを作成する方法については、『リモート・システムへの接続の作成』を参照してください。

  • z/OS プロジェクト

    「z/OS プロジェクト」 ビューには、データ・セットとファイルのアプリケーション中心ビューが表示されます。 プロジェクトを作成して、特定のリリースの特定のアプリケーションに 関するデータ・セットとファイルを編成できます。アプリケーション指向の アクション (例えば、デバッグ、ビルドなど) は、このビューでサポートされます。

  • System z LPEX エディター

    System z LPEX エディターは、 特に PL/I、COBOL、およびアセンブラー・ソース・ファイルなどを編集するためのデフォルト・エディターです。 System z LPEX エディターは基本 LPEX エディターを拡張して、例えば、 各言語に対する構文検査、コンテンツ・アシスト、参照されるコピーブックまたはインクルード・ファイルを開く機能、およびエディター・ビューからジョブを直接実行依頼できる機能など、System z に固有の機能を提供するものです。 System z LPEX エディターは、 リモート・ソース・ファイルを強調表示して「開く」を選択すると、開きます。 LPEX エディターの使用の詳細については、『System z LPEX エディターのクイック・スタート・ガイド』を参照してください。

  • リモート・シェル

    「リモート・シェル」ビューには、TSO コマンドの実行をサポートするコマンド行インターフェースが用意されています。 コマンド行からコマンド、CLIST、および REXX を実行でき、 同じビューに出力を表示できます。コマンド入出力は保存することもできます。

    「リモート・シェル」ビューは、 リモート・システム・エクスプローラーで「TSO コマンド」を選択してから、「TSO の起動」をクリックして開くことができます。

  • リモート・エラー・リスト

    「リモート・エラー・リスト」ビューには、 操作の失敗が原因で発生したエラーが表示されます。 エラー (例えば、構文エラー、 ビルド問題、コード生成など) は、この表形式のビューに表示されます。

  • プロパティー

    「プロパティー」ビューには、 現在選択しているリソースの属性および属性値が表示されます。 例えば、「リモート・システム」ビューでデータ・セットを選択すると、「プロパティー」ビューにはその属性 (BLKSIZE、LRECL、VOLUME など) とそれぞれの属性値が一覧表示されます。 同様 に、z/OS システムが選択されている場合は、その接続属性 (システム名、 コード・ページ、ジョブ・ポートなど) とそれぞれの値が表示されます。

Eclipse ユーザー・インターフェースの使用に関するヒント

  1. Rational Developer for System z では、ビューをドラッグ・アンド・ドロップして、 パースペクティブのレイアウトやコンテンツをカスタマイズしたり、 ユーザー・インターフェース上の必要な場所に移したりすることができます。 また、タスクのビューが必要ない場合は、 ビューを閉じることもできます。閉じたビューを再び開くには、 単に「ウィンドウ」->「ビューの表示」メニューを選択して、ビューをユーザー・インターフェースに戻します。ビューを閉じても、 その内容は変更されたり削除されたりしません。
  2. ビューの表示領域を簡単に最大化するには、ビューのタイトルをダブルクリック します。これは特に、「System z LPEX エディター」や 「JES サブシステム」などのビューに役立ちます。表示領域を 元のサイズに戻すには、ビューのタイトルをもう一度ダブルクリックします。

ヘルプ

Rational Developer for System z ヘルプ情報は、統合された Eclipse ヘルプ・システムを介して提供されます。 これを開くには、「ヘルプ」メニューから「ヘルプ目次 (Help Content)」を選択します。

情報内容は「ブック」形式で編成されています。各ブックには、特定のトピック または領域の内容が収められています。

この内容にアクセスするには、一般に 2 つの方法があります。左側のペインにある ナビゲーターを使用して、参照可能なヘルプ目次を探索するか、または検索機能を 使用して、表示したい特定の項目を検索します。 デフォルトでは、すべてのブックに対して検索が実行されます。検索コンテキストを絞り込むには、「拡張検索」検索範囲オプションを選択することで、 ユーザー定義の検索範囲に検索を制限できます。 検索結果リストが常に長すぎる場合や、関係のない結果が多すぎる場合には、 拡張検索機能を使用するようお勧めします。

情報内容は右側のペインに表示されます。情報を印刷するには、右側のペインの右上隅にある「印刷」ボタンを押して、プリンターの指示に従います。


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