本書について
この「クイック・スタート・ガイド」は、System z® LPEX エディターを紹介することを目的としています。本書では、
エディターの設計、いくつかの頻繁に実行されるタスク、
およびこのエディターで実行されるそうしたタスクの仕組みについて説明します。
最後に、一部の生産性フィーチャーおよびコマンド参照についてその概略を説明します。
System
z LPEX Editor の背景
Developer for System z が Eclipse プラットフォームの上にビルドされているように、System
z LPEX エディターは基本 LPEX エディターの上にビルドされていて、
z/OS®
ユーザーの特定のニーズを満たす追加機能を提供します。
本書では、特に
z/OS ユーザーの役に立つ機能について説明します。
基本 LPEX エディターの機能と System z
LPEX エディターの機能を扱います。
重要: System z LPEX エディターの動作を ISPF 風にするには、
「設定」で ISPF プロファイルを必ず選択してください (「ウィンドウ」>「設定」>「LPEX エディター」)。
ISPF ユーザーの用語との相違点
ISPF エディターでは、接頭部域で
使用されるコマンドは行コマンドと呼ばれ、コマンド行で使用されるコマンドは
基本コマンドと呼ばれます。しかし、LPEX エディターでは、接頭部域で使用される
コマンドは接頭部コマンドと呼ばれ、コマンド行で使用されるコマンドは行コマンドと呼ばれます。
- 接頭部コマンド域。 接頭部コマンドは、エディターの接頭部域に
入力できます。これらのコマンドは、コマンドが入力される行のみに適用されます。
接頭部域にアクセスするには、接頭部域オプションが使用可能になっている
ことを確認します。これは、「ウィンドウ」>「設定」>「LPEX エディター」>「コントロール」で確認します。
- 行コマンド域。 エディターの任意の場所で ESC キーを
押して、コマンド・ウィンドウの先頭にカーソルを移動します。ウィンドウで
コマンドを入力し、ENTER を押してコマンドを適用します。
エディターの使用
以下は、頻繁に実行されるエディター・タスク、
および、System z LPEX エディターでのそれらの動作のリストです。
注: このリストは ISPF プロファイルのみに適用されます。
- 行の挿入。 CTRL+ENTER を押すと新しい行が挿入され、
次の行へカーソルを移動します。
- 行の削除。 接頭部域に D と入力し
て ENTER を押すと、行が削除されます。文書内の別々の 2 行の
接頭部域に DD と入力して ENTER を押すと、テキストの
ブロックが削除されます。DD コマンドは、削除するテキストのブロックを
定めます。CTRL+Backspace を押すと、現在行が削除されます。
- テキストの削除。 「挿入」 モードの
場合は、Delete を押すと、カーソルの右側の文字が削除されます。
「置換」モードの場合は、同じアクションを実行すると、
カーソル位置の文字が削除されます。
カーソルより後にあるテキストは左に桁移動するため、空白が生じることは
ありません。Backspace を押すと、カーソルより前にある文字が削除
されます。カーソルより後にあるテキストは左に桁移動するため、空白が生じることは
ありません。
- 行の分割。 ALT+S を押すと、カーソル位置の現在行が
分割されます。
- 行の複製。 接頭部域に R と入力して ENTER を
押すと、指定された行が複製されます。文書内の別々の 2 行の接頭部域に RR と
入力して ENTER を押すと、テキストのブロックが複製されます。RR コマンドは、
複製させるテキストのブロックを定めます。
- 行のコピーと移動。 Alt+L を押して、1 つ以上の行に
マークを付けます。選択後に Alt+C を押すと、マークされた行が、現在行の
下の位置へコピーされます。また、Alt+M を押すと、選択した行が移動
します。これらの操作では、カーソルを接頭部域に置いてはならないことに注意して
ください。C および CC 接頭部コマンドも、行のコピーに使用でき
ます。同様に、M および MM 接頭部コマンドも、行の移動に使用
できます。CC および MM と共に A、B、O、
または OO コマンドを使用すると、行のコピーまたは移動
先 (A = 後ろ、B = 前、O および OO = オーバーレイ) を指定できます。
- ブロック編集。 ブロック編集を実行するには、まずマーキング・
モードを長方形に設定する必要があります (「ウィンドウ」>「設定」>「LPEX エディター」>「ブロック (Block)」)。また、現在開いているファイルでこれを行う場合は、行コマンド set block.defaultType rectangle を
入力する方法もあります。長方形ブロックの選択には、マウスを使用します。
選択後に Alt+C を押して長方形ブロックをコピーするか、
または Alt+Z を押して既存テキストにオーバーレイしているブロックを
コピーします。長方形のマーキング・モードでは、カーソル移動がテキストの
マーク解除に効果をもたないので、ユーザーが混乱する原因となっています。
つまり、テキストがマークされている場合、カーソルを移動しても、テキストが
マーク解除されません。テキストのマークを解除するには、CTRL+U を
押します。
テキストのブロックのマーキングと操作について詳しくは、
ヘルプの『テキストのブロックのマーキング (Marking blocks of text)』および『テキストのブロックの操作 (Manipulating blocks of text)』を参照してください。
- データの検索と変更。 CTRL+F を押すと、「検索/置換」ウィンドウが開きます。以下のいずれかのアクションにより、検索の範囲を制限することができます。
- 「選択内容の検索の制限 (Restrict search to selection)」チェック・ボックスを選択して、マーク付けした内容の範囲内で検索を行います。
- 「列の検索の制限 (Restrict search to columns)」チェック・ボックスを選択して、指定した列の範囲内でのみ検索を行います。
選択が済んだ後で、ESC を押してウィンドウを閉じます。
- 16 進での内容の表示。 ポップアップ・メニューの「ソース」>「16 進編集行 (Hex edit line)」を選択して、16 進モードでファイル内容を表示することができます。
生産性フィーチャー
次に、使用可能な一部の生産性フィーチャーを紹介します。
- ファイルの複数ビュー (分割画面)。 同じファイルの
ビューを複数開くには、エディターのコンテキスト・メニューから「表示」>「新規ビューを開く (Open new view)」を選択します。
- フィルター・ビュー。 エディターのコンテキスト・メニュー
にある「フィルター・ビュー」フィーチャーを使用すると、
ファイル内の選択したセクション (コメント、部、エラーなど) のみを表示できます。
フィルター・ビューから戻るには、「すべて表示」を選択して、すべての内容を表示します。
- ファイル比較。 「リモート・システム」ビューから 2 つのファイルを選択し (複数
選択するには、CTRL キーを押したままにする)、「比較」>「相互」を選択して、ファイル比較を実行します。必要に応じて、エディター・ウィンドウのタイトル域をダブルクリックすると、
ビューが最大化されます。
エディターのカスタマイズ
System
z LPEX エディターは、ユーザーのニーズに合うように、さらにカスタマイズできます。
「ウィンドウ」>「設定」>「LPEX エディター」から
オプションを選択すれば、標準的なエディター・オプション (例えば、外観、保存、印刷など) を
カスタマイズできます。z/OS
固有のエディター・オプションをカスタマイズする場合は、
「ウィンドウ」>「設定」>「LPEX エディター」>「System z LPEX エディター」に、
カスタマイズ可能なオプションがあります。例えば、LPEX インクリメンタル検索機能を使用したくない場合は、「ウィンドウ」>「設定」>「LPEX エディター」>「テキストの検索」に進み、「インクリメンタル検索ダイアログ」をクリアします。
コマンド参照
以下の表は、System z LPEX エディターの ISPF モードでサポートされる、より一般的なコマンドのいくつかを列挙したものです。
表 1. エディター上のポップアップ・メニューだけでなく以下のショートカット・キーを介して使用可能なエディター・コマンド| 機能 |
コマンド |
| ブロックの選択 |
ALT+R |
| ブロックの選択解除 |
ALT+U |
| 左シフトの選択 |
ALT+F7 |
| 右シフトの選択 |
ALT+F8 |
| 移動の選択 |
カーソルを位置づけてから、ALT+M を押す |
| ブロックのコピー |
ALT+C |
| ブロックの削除 |
ALT+D |
| 行の分割 |
ALT+S |
| 小文字に変換 |
ALT+I |
| 大文字に変換 |
ALT+K |
| 行の挿入 |
CTRL+Enter |
| 検索 (および置換) |
CTRL+F |
| 新規ビュー (ビューの分割) |
CTRL+2 |
| ビューのクローズ (重複ビューのクローズ) |
CTRL+0 |
| 行のコメント化 |
CTRL+/ (COBOL のみ) |
| 行のコメント解除 |
CTRL+¥ (COBOL のみ) |
| ビューのフィルタリング |
CTRL+G |
| すべて表示 (ビューのフィルタリングの取り消し) |
CTRL+W |
表 2. 行のブロックに関する接頭部コマンド| 機能 |
コマンド |
| ブロック・データを左へシフト |
<< |
| ブロック・データを右へシフト |
>> |
| ブロック列を左へシフト |
(( |
| ブロック列を右へシフト |
)) |
| ブロックのコピー |
cc |
| ブロックの削除 |
dd |
| ブロックのオーバーレイ |
oo |
| ブロックの繰り返し |
rr |
| ブロックの除外 |
xx |
| ブロックの大/小文字の変換 |
lcc と ucc |
表 3. その他の接頭部コマンド| 機能 |
コマンド |
| 行の後にコピーまたは移動 |
a |
| 行の前にコピーまたは移動 |
b |
| コピー |
c |
| 除外された行の表示 |
f |
| 新規行の挿入 |
i |
| 最後に除外された行の表示 |
l |
| 移動 |
m |
| オーバーレイ |
o |
| 繰り返し |
r |